2019年新年のご挨拶

2019年を迎えました。私事ながら喪中のため、新年のご挨拶は控えさせていただきましたが、昨年も当部に多大なるご支援、ご声援を賜り、誠にありがとうございました。

昨年は漕艇部としても数年前に活動を再開して以降、最高の成績を収めることができました。大会規模は東日本級ですが、それでも2大会で1×、2×でそれぞれ準優勝を果たし、2年生3人が一つずつ銀色のメダルを手にしたことは指導者目線ではなく、純粋に『おめでとう、そしてありがとう』というファンとしての感動の気持ちが強かったのが本音です。
もちろんあと1つ上の順位であればと思うこともありますが、優勝するということの難しさは分かっているつもりです。そして何より彼らにはまだチャンスがあります。この先、1つの目標としてまた同じような場面があったときにこの準優勝に甘んじたことがかえって生きるのではないでしょうか。それが成長でもあり、成長していくための目的にもなるのでしょう。

またこれらの結果を受けて、当部としては実に20年ぶりの新艇ダブルスカルを購入するに至りました。20年前、そうです。ちょうど私がまだ現役当時2年生だったときに購入し、当部にとってはこれまでその艇が最高クラスの艇であったわけですが、当時と同じFilippi製のダブルスカルを購入しました。
購入にあたっては、毎年多くの方にご寄附、ご支援をいただいているおかげでOB会の財政にも少し余裕が生まれてきたこと、また前述した通り、ダブルスカルでの優勝を成し遂げたわけですが、このチームボート(2人以上種目)での表彰は平成に入って初めての快挙でもあったので、今後の活用として最適な艇種をスタッフ陣で検討し、選定したものです。
またこれまで伝統的にもあまり行っていなかった艇への名づけを昨年よりヘッドコーチに就任してもらい、且つ新艇購入に際しても多額の寄付をいただいた小賀坂さんにお願いし、『SUNRISE』と命名していただきました。

小賀坂さんと言えば、私が現役時代に監督を務めていただいていた言わば恩師です。当時は色々ありました。私の若さ故の態度で本当に苦労をかけたこと、そのことは悔いても悔やみきれないほどのものです。それでもそんな恩師が、今こうして共に青山学院大学漕艇部の再興を願い、そして果てしない夢を追いかける同志として指導にあたれていること、こんなに幸せなことはありません。
昔は語り合うこともなかった夢を今はお互いに本音で言える関係です。こういうところにもこの部に携わっていることへの感謝を感じています。苦労は互いに違えど、同じ志を持つからこそ分かり合え、そして共に手を取り合っています。そんな小賀坂さんが命名したSUNRISEという言葉の意味、しかと受け止めて、これからも励んでいかなければいけないと改めて感じてもいます。

暮れには来季に向けてコーチ陣を交え、学生らとミーティングを行いました。今まで行ってこなかった目標管理をテーマにそれぞれの目標を改めて考えてもらい、自らがそれを達成するためにどう行動するかなどを紙に書き、言葉にし、それを皆で共有しました。この意味は言うまでもありません。
これまでも漠然とした目標はチームにもそれぞれにもありました。でもそれが目標であっても、行動への動機につながっていないことも明白でした。チームは今、少数の体制ながら良い方向にきているという自負があります。でも結果が出れば、またその分、私にも欲は生まれました。何より彼らに勝ってほしい、勝たせてやりたい、そしてここに足を踏み入れたことを自分の誇りにしてほしい、そんな願いが今の自分の指導の根幹になってきているのを感じます。

昨年、監督に就任して以降、最も熱くさせてくれるレースがありました。11月に開催された全日本新人選手権の敗者復活戦です。ここには今うちの部として最良であると判断したクルーで挑みました。戦前からも戸田のコースでは他大の関係者からも『青学ダブルいいね!』と声を掛けられることもありました。そうした期待感を持って挑んだ予選ではまさかの惨敗を喫しました。もちろんこの大会がレベルが高いことは承知の上でしたが、練習で見ている姿を垣間見ることなく、あっけなく敗れたことにショックを受けたわけですが、翌日挑んだ敗者復活戦では見違える姿を目にすることができました。
予選タイムから厳しい組み合わせは想定内のものであり、半ば諦めの気持ちが占めていたのが本音です。でも選手らは違いました。前日のスタートが嘘のように勢いよく飛び出すと第1クォーターをあっさり制するわけです。組の中で最上位と見ていた2艇と横並びの展開で、1000mを通過したときには、伴走している他大学の応援者から『どこあれ?青学?凄くない?』という声を耳にしました。この激漕は本当に見ている者を熱くしました。結果を言えばこの後は地力の差が出たのか、第3クォーターで水が空き、最後は力尽きて残念ながら3位でのフィニッシュとはなりましたが、同じ敗戦でも前日の敗戦とはまったく違うものでした。

ボート競技は戦前からある程度の結果が決まっている競技だと良く言われます。大番狂わせなんかは稀な競技です。それが故、想像以上のレースが起こると胸を熱くさせてくれます。ボートの醍醐味とはそこにあるのではないでしょうか。少なくとも競技をしていない外から見る立場であればこれを目にすることがあるかないかで、面白さを感じるかどうかも決まってくるのではないでしょうか。
少なくとも私自身はこのレースでボート競技の面白さを今までと違ったかたちで教えてもらうことができました。と同時にそれは応援者として面白さを感じるだけでなく、指導者として彼らに勝って喜びを教えること、それが周りにどう影響を与えるか、一つのレースが持つ意味や楽しさをもっと味わってもらうことこそが、彼らの今後の財産になるのではないかと感じています。

今年も恒例の箱根駅伝がありました。ここ数年、毎年恒例となっていることから一つだけ違ったことは当校が敗れたことです。でもその敗北も共感を生む走りや姿勢だったことを多くの方が評価してコメントしています。勝負は勝つことだけでなく、そのプレーで多くの人を魅了することに本当の楽しさがあるのだと思います。
傍から見れば連覇が途絶えた、残念だね、実際に私も関係者ではないながら卒業生というだけでよく言われます。でも残念だとは思っていません。元々駅伝で活躍し始めた頃から嫉妬のような悔しい気持ちはずっと感じています。でも同時に尊敬もし、憧れてもいます。華やかな舞台と羨ましさすらありますが、同じ土俵でないにしろ、やはり負けたくはありません。
決して交わることのない競技、存在でありながらも同じ大学の看板を背負って、大学スポーツを盛り上げていこうという志は同じなんだと思います。そして人々に感動を与えることこそが我々の使命なんだとも思います。主役は学生です。だからこそ彼らが輝くことを何より望み、彼らの雄姿で多くの人に感動を伝えたい、それが一番の喜びなのです。

今、当校はこの駅伝の活躍を筆頭に部活動のあり方を見直そうという動きが出てきています。私自身も切にそれを願い、毎年訴えてきたことがあります。それが実を結ぶことも少しばかり現実味を帯びてきました。まだ詳細については決定もしていないため多くは語れませんが、夢の実現に大きく近づくことは確かとなるでしょう。
また日本のボート界からも有り難い声掛けをいただくこともありました。一歩ずつでも着実に歩んでいくことで、これまでに想像もしていなかった未来がすぐそこに現実のものとして訪れるのかもしれません。部員ゼロという逆境からスタートした苦悩の日々も数年の時を経て、今まさにこれからという充実期を迎えようとしています。
どんなときも今がベストだと思ってきました。それは言わば信念のようなものです。常に今がベストであると思えるようやってきたからです。そしてそれはこれからも幾多の挫折があろうとも揺るぎないものとして、自身の中で思い続けていくつもりです。

毎年こう新年に決意新たに投稿をしていますが、今年は特に上手くまとまりません。それでも気持ちの中では新年のスタートと同時に気持ちを引き締め、そしてより一層、胸が高鳴るような年なんだと今の意気込みを表しているつもりです。今年も一人でも多くの人の心を掴み、感動を届けられるように部員一同、精進してまいりたいと思います。今後とも当部に変わらぬご支援、ご声援を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

2019年1月8日
青山学院大学漕艇部
監督 須田 祐樹

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