2018年新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

漕艇部関係者におかれましては昨年も当部に多大なるご支援、ご声援を賜り、誠にありがとうございました。

一昨年の50周年を境に多くの方々に年会費、寄付をいただく機会も増え、こうした皆さまの温かい支援があって今の漕艇部が成り立っていることを改めて実感し、またその期待に応えねばと身が引き締まる思いで私自身も指導にあたっています。

まずは昨年を振り返りますと念頭の挨拶で書かせていただいた通り、多くの課題や不安を抱えた中での新年(1年前)でしたが、その状況は数日後にあった一人の学生からの連絡により一変しました。
このサイトの問い合わせフォームを通じて送られてきたメールを見て、慌てふためいたのを今でも覚えています。

思い立ったらすぐに行動に移す、それが自分のモットーでもあり、すぐさま現地も訪問しましたが、その間にも今後数年でどういう部を築いていくべきかの構想が頭の中でシュミレートさせたものです。
そうです、こうして春には当部に経験者が入部しました。(実に何年ぶりのことでしょう)

そしてそれに続くかのように男子2名、女子1名、いずれも高校時代には他の競技で慣らした新入部員を迎えることとなりました。
1年前、新入部員が一人も入らないという最悪の事態を招き、今後への不安要素となっていましたが、この1年生らの加入は部を再び活性化させる起爆剤ともなり、今では非常に良いまとまりを見せてくれています。

現在は3年生と1年生のみのチームですが、この春にはまた勧誘行事が行われます。ここ数年言い続けているのは毎年5名。それが4年も続けば大所帯です。それで十分なのです。
もちろん人がいる故の問題も尽きないもので、現に昨年も退部をめぐる多くの問題もありました。ですが組織は人がいて初めて成長していきます。
そこにいる人を大事にすること、そして尊重すること、私自身もこの部ではそれを一番大切にしていますが、どうしても譲れないものもあります。
それは第一にまわりに迷惑をかけないことです。組織は最低限のルールの上で成り立ちます。個人の身勝手さを許すのはただのなれ合いです。
これではチームとしてのまとまりもなくなり、同じ方向を向いて、目標に向かっていくために遵守しなければならないこと、これは常に教えていかねばならないと常々感じています。

そしてそんな中でもっともこれから必要なのが“チーム作り”です。これが今の一番の課題です。
個人の成長ももちろんそうですが、個々に活躍してくれる背景には部の存在が必要不可欠である、いや、そうあってほしいと願っています。

私自身も現役当時は自分の意志、自分の努力と向き合って一人でやってきたつもりですが、最後の最後に結果を手にして気付いたことは、まわりの存在です。
チームや支えてくれる人の存在なくして、成功はなかったものだと思い、今でも大切にしています。

また昨年はこうした新入生の加入に自分自身が感化され、現役さながらの活動と言わんばかりに朝練にもほぼ毎日参加し、1年間を通じて積極的に練習に関わりました。
そして挙句の果てにはいくつかのレースにも学生らと共に出漕しました。
特にクリスマスチャレンジカップでは休部期間を経て来季に懸ける思いが人一倍強い川村とコンビを組み、僅かの差で優勝を逃しましたが、
レース後に天を仰ぎ、見上げた空の青さ、その清々しさはこれまでのボート人生では経験したことのないものと思えるほど格別のものでした。

私の話はさておき、当部の話しに戻ります。

昨年の暮れにチームで全体ミーティングを行いましたが、今年はレースに向けて行う練習より、まずは基礎となる体力作り、正しい漕ぎを重視してこの冬から春にかけてやっていこうと話し合いました。
当部は他大が行っているようなほぼ毎日の練習はおこないません。
これは私が監督を拝命したときから掲げる信念のようなもので、練習のし過ぎは単に追い込んだ自分に課した練習だけに満足しがちでその練習の量と効果が比例すると思えないからでもあります。

ボート競技の言わば当たり前と言われる毎日の漕ぎこみより、週4回でもいいので質の高い練習をすることを何より目指しています。
艇をいかに速く進めるか、それにはもちろん鍛錬も必要ですが、自身がその原理を理解し、考えて、実践する。漕ぎ方一つ、トレーニング方法一つにも必ず効率のいい方法があります。
それは自身が身に付けなければ決して習得できるものでなく、極端に言えば陸からいくら私が理に適った指導をしても何ら効果すらないでしょう。
ボート競技で良く言われる「自分との戦い」。これは単に自分を苦しめて追い込むことだけではなく、自分とボートにいかに向き合うか。
決してやらされるトレーニングでは成長は望めないものであるという自負があるからです。

私自身も高校時代はやらされることが当たり前の環境で育ち、その財産だけで自分の成長の無さを痛感しました。
それでボートを続けることの意味すら考えさせられ、ただボートに向き合うより、違う時間の過ごし方や今までと違う考えを持つことをボートを離れて学びました。
それはある意味、日々のボートの鍛錬からの解放という言葉に尽きるかもしれません。
ですが、それによって本当に勝つためには何をすべきか、何が効果的か、自らが考えて行動したものです。
そしてどんなに優れたコーチの指導よりも、自身の考えや向き合い方のほうがよっぽど効果があるものだと感じたのは言うまでもありません。

もちろん私自身の考えをすべて押し付けるつもりは毛頭ありません。
ですが、学生らにはあまり一つの考えに固執せず、自分たちの思うがままやらせてあげたい、それは指導者として失うことのない方針の一つでもあります。

だからこそ外の世界も知ればいいんです。ボートの日々だけでなく、学業もバイトもそして恋愛なんかも。
でも練習と決まった日、時間、そこは全員が同じ目的意識でボートと向き合ってほしい、そう考えています。
言うは易し、行うは難し、との言葉通りこれを実践できるかが何よりの課題でしょうか。

ですが、こうした考えだけは学生らにもきちんと伝わるまで言い続けていくのが自分の監督としての使命でもあります。
だから今年もこの考えに基づき、効率的に、且つ効果的な練習を1年を通してやっていければとの思いです。

もちろんこれで勝てるほどボート競技も甘いものではないのは私自身がよく分かっているつもりです。
でもそれは当の本人たちが気づくべきであり、そうなったときにはまた違ったアドバイスができるのではないでしょうか。
私自身が勝ちたいわけでも、勝たなければいけないわけではありません。それぞれが本当に勝ちたいと思うのなら何をすべきか、たぶん答えはきっと分かるはずでしょう。

今年はまずは全体の底上げとして同じ練習で一つひとつの目的をクリアしていけるよう継続的にやっていきます。
ですので当面の目標も今時点では定めるつもりはありません。
一つひとつ課題を克服していき、成長していく中で自ずと自分たちの目標や見据える先が定まってくるものではないでしょうか。そこで初めて本当の目標が見つかるのでしょう。

今年は誰一人と脱落することなく、昨年以上に、更には来年以降につながるのチーム作りを目指して、これからも部員一丸となって励んでまいります。

取り留めのない話しで長文になりました。

毎年のことになりますが、箱根駅伝では母校の活躍に感化され、その話題にも触れています。
今年は戦前の評価からも厳しいかなという見方でしたが、その中でもしっかりと王者としての貫禄を見せ付ける強豪集団に今年も感服したのは言うまでもありません。
ですが、彼らだって同じ人間であり、うちの学生らと何ら変わりません。
他人事と思わずに、自身がどう変わるか、どう行動していくだけの違いだと思います。

例年新年早々にこのサイトを通じて新年のご挨拶を述べておりましたが、今年は年明けから体調がすぐれなかったため、ここまで時間があいてしまいました(言い訳です笑)。
もしこの念頭の挨拶を一人でも楽しみにしてくれていたのであれば申し訳なく思います。

今年も監督として、漕艇部の一員として、やる気十分に1年間、挑んでいくつもりです。
多々ご心配されている方もおられるかと思いますが、私の今の生きがいはこれかもしれません。

大勢の方から期待される、誇らしい部をこれから築いてまいります。
今後とも変わらぬご支援、ご声援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

2018年1月8日
青山学院大学漕艇部
監督 須田 祐樹